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「先方、かなり興味持ってたよね?」 「手ごたえアリですよ」 「だよね。だよね」 なんて盛り上がりながらカフェの扉を開くと、店員さんが慌てた様子で駆け寄ってくる。 「すいません。ここは会話禁止カフェなんです」 「会話禁止?」 「はい、静かに心を休める空間となってます」 「はぁ〜?」 代理店さんと顔を見合わす。 なんでも、声を上げず会話を止めて安らぐカフェらしい。 「面白そ〜〜 入ってみよッ」 「そうしましょッ」 店員は人差し指を口にあて「だから、お客さん シーです」 「ゴメン」 席へ通される。 メニューを見ながら周りに見渡すると、確かに沈黙の空間。 本を読んだり、携帯を見たり。 カップルで来ている客も沈黙で、中には瞑想でもしているかのように目を つぶっている客までいる。 柱時計のチックタックだけが店内に響く。 じゃ〜どうやって注文しているのかというと、店員が察知してテーブルまで 素早くやってくると耳に手をあて片膝をつく。 そして、客はこれ以上のないヒソヒソ声で注文。 これは許されるらしい。 「アイスコーヒーを二つ」と限りなくトーンを落とすと、店員は言葉を発さず大きく頷く。 不思議だ。 東京にこんな空間があるなんて、、、 代理店さんと、またまた顔を見合わせる。 すると、テーブルの横にノートを発見。 表紙には《筆談帳》の文字。 どうやら、どうしても会話したい時に使うらしい。 《面白いね〜》 《ですね》 何度か繰り返すと、恐ろしく字が乱暴に。 二人で打ち合わせの確認のタメに入った店が会話禁止。 面白がって入ったとはいえ、すぐに時間を持て余すハメに。 《ヒマだね》 《ホント》 静寂に弱い都会人です。 で、壁の模様の数を数えたり、アイスコーヒーのミルクの沈み具合を観察したり、 筆談帳をペラペラと覗いたりと時間潰し。 人間、喋るなと言われ口を使わないでいると不思議と耳が敏感になってくる。 雑誌をめくる音。咳払い。食器と食器のあたる音。水の音。 とにかく、雑音がやたらと気になり出す。 しばしその静寂の中から音を拾う。 すると、男性客のひとりが席を立ちトイレへ。 ペタペタと歩き、ガチャン、バタン。 扉の開け閉めがうるさい。 今度はベルトをはずしバックルがぶつかる音が聞こえてくる。 カチャカチャカチャ。 ますます耳が研ぎ澄まされていると、突然 静寂を引き裂く音。 《プ〜〜ウウゥ〜》 「あッ、屁こいた!!」 思わず口にしてしまう。それもかなりの大きな声。 カフェは一瞬、沈黙。会話禁止の沈黙ではない妙な戸惑い気味の沈黙。 次の瞬間、怒涛の爆笑の渦へ。
カップルはひっくり返って笑う。 ひとりで本を読んでいた青年も笑う。 中年女性は紅茶を吐き出して笑う。 瞑想していた人も笑う。 店員は怒る。 《ダメだ、苦しい。もう無理。出ようッ!!》 屁をこいたあのお客、トイレから出てこれないだろうなぁ〜〜
by tokyo-rextv
| 2015-05-26 00:03
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